健診などで腎機能の数値が悪いと指摘を受け、要精査と言われたことはありますか?
腎機能が悪いとどんなことが身体に起こるのか、またどのような治療を行うかお話します。

腎臓について

腎臓は血液などから老廃物を取り出して尿として排出し、
必要な成分は再吸収して体内に戻す働きをします。
またカルシウムやリンの量を調節して骨を強くします。
血圧のコントロールや赤血球を作るホルモンの分泌なども行っており、
人間の身体が機能するために重要な役割を果たしています。

沈黙の臓器

腎臓は一度悪くなってしまうと、機能の回復が難しい臓器です。
初期の段階では自覚症状がほとんどなく、倦怠感や浮腫といった症状があらわれるころには
病状が進んでしまっていることが多いのです。そのため沈黙の臓器と呼ばれています。

早めの対策が重要になってくるため、会社によっては、健診結果に基づいて
将来CKDを発症するリスクのある人へ注意喚起として
かかりつけ医への受診を勧めるなどの動きもあります。

健診でわかる数値

クレアチニン値とは

血液検査項目のひとつであるクレアチニン(Cr.)は、筋肉を動かすためのエネルギーを
使ったときに作られる老廃物で、身体にとっては不要なものです。
健康な腎臓はこのクレアチニンを他の老廃物とともに、
血液からろ過して尿として身体の外へ排泄します。腎臓のろ過機能が低下すると、
クレアチニンが血液からろ過されにくくなるため血中のクレアチニンの量が増えます。
そのためクレアチニン値は腎機能の指標とされています。

GFR値とは

腎機能をより正確に評価するために、このクレアチニン値をもとに
計算式にあてはめて算出する数値です。
腎臓の糸球体という器官で1分間にろ過される血液の量を示します。

eGFR値(推算GFR)とは

クレアチニン値は筋肉量や食事、運動量に影響を受けると言われています。
そのため、クレアチニン値、年齢、性別から計算で推定した、eGFR値が指標として
一般的に用いられています。

CKD(Chronic Kidney Disease)慢性腎臓病とは

蛋白尿が出るなどの腎臓の異常がある、あるいは腎機能が低下している(GFRが60以下)の状態が
3ヶ月以上続く状態のことを言います。

近年、糖尿病・高血圧などの、いわゆる生活習慣病がCKDの原因となるということで
「新たな国民病」ともよばれています。また、心臓と腎臓は密接な関りがある(心腎連関)ので、
CKD患者は慢性腎不全だけでなく、心不全なども起こしやすいと言われています。
日本では成人の5人に1人、約2,000万人がCKDに罹患していると推定されています。

CKDの診断

GFRをはじめとするクレアチニン値に基づく血液検査結果も重要な指標ですが、
腎機能低下を判断する蛋白尿を調べるための尿検査も必須検査です。
健診で要再精査となった、あるいはむくみが気になるなどの症状がありましたら
いちど泌尿器科へご相談ください。

CKDの治療

初期であればかかりつけ医での治療が可能ですが、CKDステージがあがると
腎臓専門医への受診が必須になり、透析や腎移植などより高度な治療へ移行していきますので
患者さん自身の負担も大きくなっていきます。
さきにもお話ししたように、腎臓は機能回復が難しい臓器です。
そのため、CKD発症リスクが高い方あるいはCKD初期の方には

末期腎不全への進行阻止
心血管疾患の発症予防
死亡リスクの軽減

を目標に、定期的に検査をしながら腎臓を労わる生活へのシフトを促していきます。

原疾患の治療

CKDの原因となり得るⅡ型糖尿病や高血圧といった疾患について
治療を進めていくことでCKDの予防、あるいは進行を遅らせるようにします。

生活習慣の是正

日常生活での問題点を見直し、患者さんの生活に沿った改善を促していきます。

食事は塩分を控えめにし、質のよいたんぱく質を摂るよう心がける
十分で質の良い睡眠と、適度な運動を心がける
薬が処方されている場合は自己判断で中止せず指示通りに飲む
定期的に受診し、血液検査や血圧測定を行う

薬物治療

CKDには完治させる薬はありません。腎臓に負担をかけないように原疾患に対する治療薬、
あるいは腎保護の薬剤を使ってCKDの進行を遅らせるようにします。

RA系阻害薬      血圧の管理、いわゆる降圧剤
SGLT2阻害薬     腎保護効果がある薬

身体を健康に保つために重要な働きをしている腎臓を守るためにも
定期的な検査を受け、症状にあった対策を医師とともにとっていきましょう。