慢性前立腺炎とは
前立腺とは?
前立腺は膀胱のすぐ下にあり、精子への栄養供給、精液の濃縮などを行う器官で男性特有の器官です。
血流障害からくる慢性前立腺炎
この前立腺に炎症が起こると、下腹部や下半身の広範囲に灼けるような痛みや違和感を感じたり、
排尿のトラブルといった症状が現れます。
10代後半から40代と比較的若い世代に発症することが多いですが、
50歳以上の罹患率も8%に上るとの報告もあります。
慢性前立腺炎は別名 慢性骨盤痛症候群とも呼ばれ、膀胱炎、尿路結石など泌尿器にまつわる疾病に
あてはまらない場合の診断として分類されているので別名のほうがしっくりくるかもしれません。
慢性前立腺炎の症状とは
慢性前立腺炎の症状は、前立腺から離れた下腹部や下半身といった広範囲に現れることが多く
症状も多岐にわたります。
排尿の症状
頻尿や残尿感・血尿・尿の勢いが弱い・排尿時の痛みなどの症状が現れます。

腹部や下半身の症状
会陰部(肛門から睾丸の間の部分)や下腹部・腰・鼠径部・足の付け根・太ももなどに
痛みや違和感を感じることがあります。
性機能の症状
射精時の痛みや違和感・勃起障害などの性機能障害が起きることがあります。
慢性前立腺炎の原因とは
慢性前立腺炎の明確な原因は分かっていませんが、全体の1割程度は細菌感染とされています。
それ以外に原因になると考えられていることには以下のようなものがあります。
前立腺を圧迫することによる血流障害
骨盤周辺の知覚過敏
ホルモンの異常分泌
免疫異常
具体的な例を挙げますと、
・長時間のデスクワークや自動車や自転車の運転
・過度の飲酒
・喫煙
・精神的ストレス
・冷え性
特に、長時間のデスクワークや車の運転などで座位姿勢が多い方は
慢性前立腺炎を発症しやすいと言われています。
慢性前立腺炎の検査・診断方法とは
先にも紹介したように、まずは他の疾病の可能性を検査で調べていきます。
尿検査
尿検査により血尿や尿の濁り、細菌性や炎症性かどうかなどを調べます。
残尿測定
排尿後の尿の残り具合を調べる検査です。排尿後に、膀胱の中をエコーで調べ残尿の量を測定します。
残尿の量を測定することで、排尿障害の進行具合を確認します。
前立腺超音波検査
エコーで前立腺の形状や大きさを調べます。
直腸診
直腸診は、医師が肛門から指を入れ、前立腺を触診する方法です。前立腺の大きさや腫れ、痛み、
肛門の痛みなどを確認します。同時に前立腺癌の有無も調べられます。
慢性前立腺炎に罹患していると、痛みを感じることが多く、前立腺の一部が硬くなっていることも
あります。数分程度で比較的簡単に行える検査です。
一般的に上記のような検査が行われますが、医療機関によって検査の種類は異なることもあります。
慢性前立腺炎を疑う場合には、米国国立衛生研究所(NHI)作成の慢性前立腺炎症状スコア(NHI-CPSI)
によって現在の症状を数値化して重症度を確認します。
慢性前立腺炎の治療とは
治療は生活習慣の改善および薬物投与を併用しておこないます。
生活指導

炎症には骨盤内の血流不全が関わっており、血流障害をきたす行動を
できるだけ避けることが大切です。
- 仕事などで長時間座ることが多い場合は、1時間程度経過ごとに立ち上がって
ストレッチなどを取り入れる - 自転車やバイクに長時間乗ることは避ける
- 過度の飲酒や喫煙を控える
- 精神的ストレスや疲労を抱え込まないように休息をしっかりととる
- 入浴などで身体を温め、血行を良くするよう心掛ける
- 膀胱を刺激する食品(香辛料、カフェインを含む食品など)の摂りすぎは控える
- しっかりと水分摂取を行う
それぞれの患者さんの生活に合わせた見直しを医師と相談し、
症状の改善を目指すことが行われます。
薬物治療
患者の方の症状に応じて薬が処方されますが、一般的には以下のような薬が使われます。
植物性由来成分配合薬
8種類の植物性由来成分が配合された、抗炎症作用、排尿促進作用、
抗前立腺肥大作用のある治療薬が処方されます。
抗生物質
細菌性でない場合でも、抗生物質が処方されることがあります。
α1ブロッカー
尿道を広げ、尿路症状を改善してくれます。
鎮痛剤
痛みを緩和させるために鎮痛剤が処方されます。
服用を止めると痛みが再発することがあるので、注意が必要です。
抗不安薬
心因性の痛みだけでなく、身体性の痛みの改善にも効果が期待できます。
医師としっかりと相談し、根気強く治療を続けることが大切です。
上記のような症状や不快感があるようでしたら一度当クリニックまでご相談ください。


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