亀頭包皮炎とは
亀頭包皮炎(きとうほうひえん)とは、名前のとおり陰茎の亀頭部と
包皮部(亀頭を覆っている皮膚)に炎症が起こってしまう男性特有の疾患です。
亀頭や包皮が赤く腫れたり、痛みやかゆみが出ることがあります。また、ただれたり膿が出るほか、
排尿時に痛みを感じることもあります。原因となる菌によっては強い臭いが出ることもあります。
亀頭や包皮から白いカスが出たり、患部がカサつくといった症状が出ることも
亀頭包皮炎の特徴のひとつです。

※子どもにも多く発生する亀頭包皮炎※
包皮の先端部が狭いために亀頭を出せないものを「真性包茎」といい、
包皮をめくって出せる場合は「仮性包茎」といいます。
一般的に包茎とは真性包茎のことをいいます。
子どもの包茎は病気ではなく、生理的な状態で、
成長するにつれて解消されていくことがほとんどです。
包皮の下に黄色い脂肪のかたまりが透けて見えることがあります。
これは皮膚表面の新陳代謝によりできた垢で恥垢と呼びます。
子どもは包茎(仮性包茎)である場合が多く、なおかつ包皮の先端部が狭く
めくりにくいので恥垢がたまりやすくなってしまいます。
おちんちんが痛い、赤いなどの症状で受診された場合、医師がめくって洗浄し、
外用薬を塗布する処置を行います。
それと同時に、きれいにする方法を指導してご家庭でも行えるようにします。(包皮翻転指導)

亀頭包皮炎は、大きく2つのタイプに分けることができます。
ひとつはブドウ球菌、大腸菌などの細菌によるもの、
もうひとつはカビ(カンジダ(真菌)性)によるものです。
また、ウイルスによって亀頭包皮に異常をきたしてしまう場合もあります。
〖細菌性〗
ブドウ球菌、大腸菌、レンサ球菌などの細菌が原因となるのが細菌性亀頭包皮炎です。
細菌性の亀頭包皮炎では亀頭と包皮が赤く腫れ、患部に触ると痛みがあります。
膿が出たり、排尿時に痛みを感じたりすることもあります。
〖カンジダ性〗
カンジダというカビ(真菌)が繁殖して亀頭包皮炎を起こす場合があります。
カンジダ性の亀頭包皮炎は亀頭患部が赤く腫れ、強いかゆみが出ることがあります。
また、膿によって黄白色にただれたような状態になります。皮むけが起こりやすくなり、
魚の腐敗臭のような臭いが出るといった症状が現れる場合もあります。
受診するのをためらいがちな患部ではありますが、放置すると危険な合併症を起こすこともあります。
また、症状が改善されたようにみえても患部に原因菌が残っていると再発を繰り返し、
悪化すると尿道狭窄(尿道が狭くなってしまうこと)による排尿障害や
尿路感染症などを引き起こすことがあります。
自然に完治するケースは少なく、確実に治すためには病院で治療することが大切です。
亀頭包皮炎の原因
〖洗いすぎ〗
実は亀頭包皮炎の原因の多くは患部の洗いすぎによるものです。
何らかの炎症が起こった場合、陰部を清潔に保とうとするあまり、ボディーソープなどで
強く擦ってしまうと粘膜が傷つき炎症を悪化させてしまいます。
赤みやかゆみといった症状が出た場合でも、ぬるめの温水で軽く洗い流す程度にしましょう。

〖包茎〗
亀頭包皮炎は包茎の人に起こりやすい疾患でもあります。
包茎の亀頭と包皮裏側は、菌が繁殖するのに好適な環境であるからです。
〖性行為〗
カンジダ性亀頭包皮炎は性病の一つとしてよく知られています。
性交渉によりカンジダに感染する可能性は低いものの、
免疫力が低下しているとかかりやすくなると言われています。
とくに性交渉相手となる女性がカンジダ膣炎にかかっている場合、感染するリスクが高まります。
この他、性交渉でヘルペスウイルスやヒトパピローマウイルスなどへの感染した場合、
亀頭包皮炎を発症しやすくなります。
〖自慰行為〗
手には黄色ブドウ球菌、大腸菌、レンサ球菌、カンジダ菌といった多くの細菌が付着しています。
こうした雑菌がたくさんついた手で自慰行為を行えば、
亀頭及び包皮裏側の粘膜部分にこれらの菌が入り込み、発症リスクも高まります。
〖糖尿病〗
糖尿病を患うと亀頭包皮炎にかかるリスクも高まります。
とくにカンジダ性亀頭包皮炎を発症する患者さんでは、
基礎疾患として糖尿病を患っているケースが多く見られます。
糖尿病になると末梢部分への血液循環効率が低下し、これにともない末梢器官の一部である
亀頭や包皮にも栄養が行き届きにくくなります。そうなると亀頭や包皮を構成する細胞の
活力・免疫力が低下し、菌の増殖や細胞侵入を防ぎきれなくなってしまうのです。
〖免疫機能の低下〗
ストレスや睡眠不足、疲労などによって免疫機能が低下することで
亀頭包皮炎を発症する方もいます。原因となる細菌やカンジダ菌は
健康な人の肌などにも存在する常在菌でもあります。
免疫力によって感染を防ぐことができている場合も多いのです。
亀頭包皮炎の検査
亀頭包皮炎は通常、亀頭・包皮の視覚的診断で判定されます。
ですが、細菌性の亀頭包皮炎の疑いがある場合には細菌培養検査を行うこともあります。
皮膚や粘膜の表面から恥垢を綿棒で擦ったものを培養し、原因となる菌を突き止めます。
亀頭包皮炎の治療
亀頭包皮炎と診断された場合、投薬治療が行われることがほとんどです。
なお、同じ亀頭包皮炎でも細菌性のものとカンジダ性(真菌性)のものとでは使用する薬が違います。
はじめに外用薬(塗り薬)が処方され、症状が強く出る場合や、
長引く場合には内服薬も処方されることがあります。
注:雑菌・淋菌は抗生物質、カンジダ菌は抗真菌薬を使います。
病院での治療が大切だと先にふれましたが、市販薬は原因菌を特定していなかったり、
症状に対して強すぎる薬剤を使用している場合がありますので、
病院で診断を受けてからの治療をおすすめします。
まとめ
亀頭包皮炎にかからないようにするためには亀頭と包皮の清潔を保つことが大切です。
とくに包茎の人は恥垢がたまりやすいので、入浴時にはきちんと洗い流すことを心がけましょう。
もし亀頭包皮炎にかかってしまった場合は、早めに医師の診察を受けて、適切な対処をしましょう。