男性の方でおしっこでお困りの方はいらっしゃいますか?
前回、慢性前立腺炎についてご紹介させていただきましたが、今回も引き続き
前立腺にまつわる疾患のお話になります。

前立腺とは

前立腺は膀胱のすぐ下にあり、
精子への栄養補給、精液の濃縮などを行う
男性特有の器官です。

前立腺肥大症とは

前立腺肥大症とは、前立腺が肥大することによって症状が起こる疾患です。
一般的な前立腺の大きさはクルミ程度ですが、肥大すると鶏卵やみかん程の大きさになります。
肥大した前立腺が尿道を圧迫することで排尿障害が起こり、
症状が悪化すると稀に尿が全く出なくなることがあります。
前立腺肥大症については、30代後半から前立腺が肥大しはじめ、
85歳までにほとんどの方に肥大が見られ、そのうち4人に1人になんらかの症状がでると言われている、
一般的な疾患と言えます。

前立腺肥大症の症状は

I期:トイレにいく回数が増える/ 尿の勢いが弱く感じる/ またすぐにトイレに行きたくなる
肥大した前立腺が膀胱や尿道を刺激することによって上記のような症状がみられることがあります。

II期:おしっこをする時にいきむ、出始めまで時間がかかる
   / おしっこの切れが悪い(ポタポタこぼれる)、途中で途切れる
肥大した前立腺が尿道を圧迫することによって尿道が細くなってしまうため、
上記のような症状がみられることがあります。

III期:1日8回以上トイレにいくことがある/ おしっこにかかる時間が長くなる
症状がひどくなると、尿意があってもおしっこが出ない状態(尿閉)になってしまうこともあります。

前立腺肥大症の原因とは

前立線肥大症の発症原因は明確には判明していません。
しかし上で述べたように年齢が上がるにつれ発症率が高まることなどから、
男性ホルモンの影響があると考えられています。
その他、遺伝や高血圧・肥満・高血糖なども原因であると考えられています。

前立腺肥大症の診断

自覚症状の評価: 国際基準チェックシート(IPSSスコア)や排尿日誌を利用して症状を確認します。
尿検査:     感染症の有無とあわせて尿の状態も確認します。
超音波検査:   前立腺の大きさや形状を確認するとともに、腎や膀胱の状態もみます。
         また、残尿測定をすることで排尿の状態も把握することができます。
尿流量測定:   測定器のついたトイレでおしっこをし、排尿の勢いや量を測定します。
直腸内指診:   肛門から指を入れ、前立腺を触診します。
         前立腺の大きさ・形・硬さ・痛みの有無を確認します。
         躊躇される患者さんも多いのですが、前立腺癌や前立腺炎などの疾患を
         調べるためにも重要な検査です。

前立腺肥大症の治療

前立腺肥大症の治療には、薬物治療、手術治療、保存治療の3種類が行われます。

保存治療

  • 軽度の場合は経過観察で様子をみることもあります。
  • 過度な運動や飲酒を控えるなど、患者さんの生活スタイルにあわせた生活指導を行い、
    症状の軽減を目指します。

薬物治療

  • α1遮断薬
    前立腺や尿道の緊張を和らげ、尿の出をスムーズにするお薬です。
    尿の出がスムーズになることで頻尿の回数が抑えられることもあります。
  • 5α還元酵素阻害薬・PDE5阻害薬
    前立腺や尿道にある血管を広げて血流量を増やし、尿の出を良くするお薬です。
  • 漢方薬・植物エキス製剤など
    頻尿や排尿障害に効果があるお薬です。

手術治療

保存治療や薬物治療で効果が出なかったり、症状が重い場合には手術を行うことがあります。
下記表にあるように術式がいくつかあります。

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当クリニックでの日帰り手術で対応しているものは
WAVE(経尿道的前立腺水蒸気治療)となります。詳しくは日帰り手術のページをご覧ください。

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